101番目の家/竹原義二
この住宅にとても暗さを感じたのでその手法について考えてみました。
・余白の挿入
(バラガン邸のように内部と外部空間が狭い敷地にもかかわらず同じくらい設けられている)
・空間と空間をズラす
(内部と外部がズレて配置されており、均質な空間を解体して、また光と闇が混在している)
・明暗の空間を対比させる
(暗い部屋の隣には必ず明るい部屋、もしくは明るい外部空間が配置されており、対比させることにより両方を強調している)
・明暗の境界を曖昧にする
(はっきりと内外を分ける場所と、間に曖昧な空間を設けている部分が存在し、曖昧な空間を設けることで明暗の層を増やしている)
下記の左図は、オレンジが室内、緑が室外を示しています。写真や、作成した模型を参考に、右図はオレンジが明るい部分、緑が暗部となる部分を示しました。
暗く感じる空間の開口の設け方を調べました。
聖ベネディクト教会/ピーター・ズントー
上部にのみ開口を設け、スリガラスから光が入りシルバーペイントされた合板に光が反射されるが連続している木の柱によって影が現れ光が強調されている。
フィリップス・エクセター・アカデミー図書館/ルイス・カーン
ルイス・カーンの建築はグリッドで構成されており、中央は吹き抜けになっている。吹き抜け上部から自然光が入って中央の吹き抜けは明るく、本棚が並ぶその周りのスペースは暗くなっている。
キンベル美術館/ルイス・カーン
コンクリートの曲面天井に外部からの光を反射させ美術館ないぶに柔らかい光が落ちている。天井部分以外の場所の素材を反射率を抑えるものにしている。天井と側面のスリットからのみ自然光を取り入れている。
聖イグナティウス礼拝堂/スティーブン・ホール
窓を覆うように壁が設けられていて、隙間から光が漏れるように室内に入り込んでいる。壁に明暗がはっきりと現れている。
駿府教会/西沢大良
天窓から自然光が、木のルーバーによって柔らかい光が落ちてくる。壁には光のスリットが現れる。天井高さが7.5mあり下の部分は暗くなっているが、壁面のスリットが下の方が密になっているため光を反射し明るく感じる。
影の作り方について写真やCGを用いて考察してみました。
柱の太さを変化させてみたが、柱が細くなるにつれて外部からの光が直接入ってきて暗さが薄れている。
光に向けて垂直に壁を配置することで光を受け止め、暗い場所を設けることが多い。直接光を見えないよに、開口部を制限するか、正面を決め背後に窓を設けていることが多い。
空間のズラし方について考えました。ズラし方の種類には、一致、貫入、隣接、上下、分離にわかれると考え、それにより窓の設け方や、壁、柱の位置や太さが変化していると考えられ、これからその分析をしていこうと考えています。
コメントをお書きください
admin (月曜日, 07 12月 2015 13:17)
SRIの仮説のまとめ。
*暗さ?(重厚さ?)を感じさせる手法
1 余白(外部)を挿入する
2 非均質な空間を作り、光と影を混在させる
3 明暗の空間を対比させることで強調する
4 明暗の境界を曖昧にする(これは3と矛盾するかもしれない)
*聖ベネディクト教会/ピーター・ズントー
2と3か?
*フィリップス・エクセター・アカデミー図書館/ルイス・カーン
1と2と3
*キンベル美術館/ルイス・カーン
1と2と4?
*聖イグナティウス礼拝堂/スティーブン・ホール
2 と4
*駿府教会/西沢大良
4?
この5作品は見たことがあるが、「重厚」というキーワードにしてはキンベルと駿府は明るすぎる気はする。
だが、外壁が閉じられているという意味では良い。
聖イグナティウスはベースがコルビジェのロンシャン教会やラトゥーレット修道院。その原型がルトロネー修道院。
という風に遡って考えていく。
その上でこれらの方法を使って、いくつか簡単な建築を設計していく。
住宅ではなく、空間がある程度広く、天井の高い建築で考えること。