□問題意識
多くの駅は、たくさんの人が集まる場でありながら、ただ通過するだけになっている。また、駅は未だ土木の領域として考えられているため、利用する側も運営する側も、人が過ごす空間としての認識がないことに問題を感じた。
●ローカル線の長所
・都市部の大きな駅
広範囲から、駅を利用しにくる人がいる。利用客が多いので発展しており、エキナカ等の商業施設も充実している。
・ローカル線の駅
駅と駅の間隔が狭いため、その駅周辺に住んでいる人が主に利用する。都市部の駅と比べ、自然と顔見知りが増え、知り合いと顔を合わせる機会も多くなる。
①いすみ鉄道
存廃をかけて社長を公募し、観光鉄道として再建に成功した。キャラクターグッズや、いすみ鉄道関連グッズや食品も開発して販売した。
②銚子電鉄
平成9年、補助金が完全に打ち切られ、運行が困難と見られたが、平成7年より製造販売している「ぬれ煎餅」の収益金により、どうにか運行している。
③和歌山電鉄
ユニークな取り組み(地元特産品をデザインした「いちご電車」、駅長に三毛猫のたまを迎える、カラフルな車内にカプセルトレイを設置した「おもちゃ電車」など)や、イベントにより、190万人台まで減少していた年間利用者数は210万人を越えるまでに回復した。
④肥薩おれんじ鉄道
利用者を確保するために列車を観光化し、地域に利便性をもたらして、地域間交流と活性化を図った。スタンプラリー、車内の美術館、沿線地域観光と連携企画イベント列車、食堂の列車などがある。
ローカル線廃線の理由は、沿線の人口が減り、利用客が減ることによるものが多い。廃線の危機にある鉄道の再生は観光地化する例がほとんどである。
しかし、一般的な廃線の理由と違い、流山線沿線は人口減少している訳ではないにも関わらず、廃線の話も出るほどに利用客が減っている。ここでは、これまでとは違った鉄道再生の仕方があるのではないか。
●流山市のキャッチフレーズ「父・母になるなら流山市」
TXが開通したことで都心からの移動の所要時間が20~25分に短縮されたため、子育てしながら働ける環境の、TX沿線多くの人が移り住んできている。
また、子育てしやすい仕組みも作っている。
・駅前送迎保育ステーションを設置
(朝:保護者が送迎保育ステーションに子供を預ける
→送迎保育ステーションからバスで各保育所へ送迎)
(夕:各保育所からバスで送迎保育ステーションへお迎え
→送迎保育ステーションに保護者がお迎え)
・保育園を新設、増設
・学童保育の増設
●取り残される流山線沿線
便利で住みやすい、TX沿線の子育て世代の人口は増加した。
しかし、流山線はTXと交差する駅もなく、沿線開発から取り残されている。
●流山旧市街、観光地としてブランド化
流山本町(旧市街)町並みに点在する見世蔵を中心に、この地区の魅力を繋ぐ、散歩コースを作成し、タイムスリップ散歩ツアーを企画している。歴女が集まり、観光案内等も行っている。
観光地にするという計画はあるが、地域住民の暮らしについて、あまり考えられていないように感じる。
●流山本町の来訪目的について
観光を目的にしている来訪者はどの年齢においても低いことから「観光地」としてはあまり認知されていないが、「まち歩き・まち中散策」が最も来訪目的として高く、年齢別に見ても高い。
散策できるまちであることは知られているが、旧市街の人口増加や流山線の利用者を増やすという結果には繋がっていない。
●失われたローカル駅の良さ
TXの大きな駅をたくさんの人が利用するようになり、小さい駅だからこそ生まれていた繋がりや出会いが無くなってしまった。
流山線は利用客が減り、鉄道としての価値が無くなってしまった。
□流山線沿線の小学生を駅に呼び込む
各駅の1km圏内に、小学校が2〜3校ずつあることがわかる。
流山線にも、少ないが朝・夕方ラッシュはある。しかし、その時間以外の日中は利用客は少ない。その時間帯の利用客を増やすため、沿線の小学生を対象にした施設を計画する。
●小学生の憩いの場となる駅
親は、小学生の子供たちが安心して遊べる環境を望んでいる。
流山線の駅をそのような場にする。
小学生はほぼ歩いて通学するため、電車は使わない。電車は小さい小学生にとっては危険だという考えもある。
しかし流山線は、
・小さい駅なので、駅員の目が隅まで行き届き、監視員の役割をする。
・駅利用者みんなが子供を見守ることができる。
・地域のひとが利用するので知り合いが多く、親同士での情報も交換できる。
などの利点がある。
駅に、小学生の居場所となる空間をつくる。図書・喫茶スペース、作業スペース・・・
(一日フリー切符で乗り放題、飲み物無料)
駅を駅と感じさせない空間。
まち〜駅〜ホームが視覚的にも繋がり、境界を感じさせない空間にする。
●旧市街、沿線地域を一つに繋ぐ路線
駅が小学生の居場所となることで、駅は人が過ごす空間となる。
地域を巻き込んだ小学校の行事を駅や駅前広場で行うことで、地域を繋ぐ要素となり、路線全体が旧市街の中心となる。
地域を繋ぐ要素は路線で繋がり、旧市街だけでなく、沿線地域を一つに繋いでいく。
結果、交通弱者たちの足は守られている。
●高齢者等市内移動支援ばすルートとの連携
交通弱者である高齢者の足が、鉄道からバスに変わり、流山線の利用客の減少の理由でもあるが、そのバスとの連携することで、小学生と高齢者のつながりもできる。
現在のルートを少し変更させ、駅に近づける。
病院や福祉会館だけでしか降りていなかった高齢者も、まちとのつながりを持てる場ができる。
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admin (土曜日, 27 9月 2014 17:39)
作業は順調に進んでいるが、問題意識が踏み込めていないので、提案にパンチがない。
問題意識をより具体的に詰めていく。
*駅がただ通過するだけの空間であってはなぜいけないのか?
*駅を人がすごす空間として考えることはどんな意味があるのか?
*これらは既に改善されつつあるのではないか?
*国内外に既にどんな改善された空間事例があり、それらにはどんな問題点が残されているのか?
*鉄道駅としての視点以外に、これからのアーバンデザインとしての問題点やそれを解決する視点はないか?
*バスより電車が良いのか?
*鉄道駅を残すのにバスルートを提案するのは矛盾しないか?
*鉄道や駅を一度解体してしまうというような発想はありえるか?
*鉄道を延伸する、鉄道とバスを一体化するというような可能性はあるか?
*鉄道軌道をバスが走ったり、市電化する?
*駅をなくしてしまう。駅を増やす。などあらゆる方法と既存事例を調べる。