隙のある建築/TGC6

隙とリダンダンシーでは、隙(隙間)が上位概念にあると考えました。

また、あそびや余裕のような言葉が上位概念であるとしたら

機械等の物質的なものに対するリダンダンシーと、人に対する心理的な隙が下位概念に当たると考え、

また「(人や物質の何か)の関係をスムーズに動かす」点では、対象が違うだけで同様の意味をもつので、

この二つの言葉は同位概念なのではないかと考えました。

 

 

 

建築には様々な手法によって外部や内部空間に余白を追加しながらも機能が破綻することなく、

むしろよりよく人々が使用できている。外部でいうならば、セットバックをすることで、道路が拡張され通り抜けがスムーズになったり

火事への対策となったりする。内部ならば、吹き抜け等によって内部に採光をとりいれやすくなり、

より明るく開放的な空間にする役割を成している。これらの余白は、「必要な余白」であり、建築における「冗長(redundant)」であると考えられる。

 

 

冗長性(redundancy)とは情報科学の分野で,情報伝達する際に,余白が付加されていることであり、それにより

機能の安定化が図られていることである。建築における冗長性もまた、余白が付加されることでよりよい空間がつくられている。

隙とは物理的な隙間だけではなく、油断等の内心を時折透かす意味があり、意図して作り出すことができる。隙が多すぎても少なすぎても人間間の友好な関係を保つことができない。

冗長性と隙は、対象が人であるか物質であるかの違いはあるが「対象の関係をスムーズに動かす」点では、同様の意味を持つと考え、この二つの言葉は同位概念なのではないかと考えた。

建築における冗長性がセットバックや吹き抜けであるとしたら、建築における隙は心理に影響を与えるものであり、時間の要素をもつ光がそれに当たるのではないか。

 

目的

現代の建築には、建築における冗長性のようなものがみられるが、建築における隙はそれが明確でない。

本修士設計は、心理的な隙と同様に時間の要素を含んだ、対象の関係をよりよくする、建築における隙があると考え、時間の要素を含む「光」から隙によって想像的認識が変化し、時間を感じさせる建築設計を目的とする。

 

都心であり、周辺が低層で、光が入りやすい所、メインストリートからアクセスできる所として卒業設計の敷地の半分を選定しようと思いました。