都市の被写界深度を指標とする街路景観の奥深さの記述/SIK4

■タイトル

都市の被写界深度を指標とする街路景観の奥深さの記述

 

1.研究の背景と目的

1-1.都市の認識と印象

 多くの情報に溢れた都市では、その全てを受容することが難しく、取捨選択を行わなければならないために、都市を断片的に記憶・認識している。

どのような過程を踏むことで都市を断片的に、曖昧に認識しているのだろうか。

 

1-2.被写界深度と都市認識

 都市を客観的データとして捉えるため、人の視覚構造と類似しているカメラのメカニズムに着目し、レンズの性質である被写界深度を用いる。被写界深度とは、光学機器で距離の被写体にピントを合わせた場合、その前後の被写体にも鮮鋭な像の結ぶ領域を意味する。被写界深度の浅深によってピントのあっている状態とボケた状態の間に境界が生まれていることとなる。また、この範囲は焦点距離と絞りによって変化する性質がある。 つまり、人間の視界解像度を一定とした場合、 ピントまでの距離、可視可能範囲の振れ幅を単純に距離に換算することが可能となる。都市では個人の興味や意識によってどこにピントを合わせているか様々であることから、被写界深度は都市を普遍的に捉える上で有用な指標になると考えられる。

 

1-3.目的

 本研究では、都市・建築空間の特徴をより身近に記述するため、光学機器の性質の被写界深度に着目し、可視可能範囲と可視不可能範囲の境界の差異を示すことで、街路景観の奥深さを定量的に捉えることを目的とする。

 

2.研究の位置づけと都市の深度

2-1.既往研究

 画像処理を用いた景観分析には、都市形態の数理的解析の一つに写真や、VTRの画像解析による一連の景観分析の研究が挙げられる。これらの多くは、評価の対象となる景観上の因子について、その画像情報を抽出し、それを数理的に解析するものである。

 奥俊信らは、景観のスカイラインを抽出し、その複雑さの特性との関係を述べ、フラクタル次元を計算し、構成要素の複雑さを計量した研究*)や、伊藤恭行らは、街路の景観の水平・垂直性を抽出し、その特性について類型化した研究がある*)。また、space syntax理論を用いて解析を行った研究は、 李らの本郷において初期位置から目的地までの街路空間の複雑さを、線分と折れ曲がる回数を解析することで定量化した研究*)がある。 しかし、これらの研究は、対象が広範囲で行われている、または狭い範囲で行われているため、線分や交差点の関係にのみ着目し、両者を分析することで定量化しているもので、線分や交差点の解析に留まっている。そのため、個々の地域イメージが見いだしにくく、その解析結果はグラフなどの表現が多く、実際の都市空間、街路空間の体験をイメージさせることが困難である。

 本研究は、街路形態の都市解析または都市数理計画に属する研究として位置づけられるが、街路景観の奥行きに着目し、街路空間体験のビジュアルな記述を目的としている点で既往の研究と異なる。

2-2.都市の深度の定義

 …

3.街路景観によるケーススタディ

3-1-1.記述対象街路の選定

記述の対象となる街路は測定条件に大きな差が出ないようにするため、区域を限定して行い、様々な用途、幅員が存在する異なる特徴をもつ東京の都市の街路を記述対象とした。

3-1-2. 都市隙間線分深度図の作成

 Google マップの地図モードにおいて書き出した地図

データを使用し、道路の中心線に沿って直線でトレースをする。建物と建物にある隙間を…

Google マップ上で道路と建物の関係性から見通しを精査することでSJ の数と位置を決定した。

 

3-2.抽出手法の検討

現在試行錯誤中

①渋谷センター街(350m)、秋葉原電気街(330m)の街路中心線の分岐点上に任意の点を設定、同心円を描画し可視可能範囲の最小、最大値を測定しました。

 

3-3.記述手法の検討

4.深度の類型化

 

5.今後の展望

 都市の被写界深度による街路景観の奥深さの記述の検討およびサンプリングデータを基に複雑な街路景観における本記述の有意性の検証を行う。今後、街路景観の奥深さを表現するにあたって、最適な抽出方法を検討する。また、街路景観の記述に止まらず都市・建築デザインにおける評価・記述指標の可能性についても検討したいと考えている。

 

[注釈/参考文献/参考資料]

*Kevin Lynch著「THE IMAGE OF THE CITY」

*多重解像度画像を用いたシークエンス景観記述(06年卒 遠藤 啓介 修士論文)

*街路分岐点による街路形態の複雑さの記述(06年卒 町田 淑之 修士論文)

*都市の周辺視的認識を用いた郊外住宅地の街路景観設計(06年卒 石井 一哉 修士設計)

*アーバンロバスト性を用いた都市デザイン手法(08年卒 井村秀之 修士設計)

 

(*)奥俊信/都市スカイラインの視覚形態的な複雑さについて/日本建築学会計画系論文報告集第412号/pp.61~71/1990.6

(*)伊藤恭行、近藤裕幸、飯塚拓生著「街路景観の水平・垂直性に関する研究-コンピュータ画像処理による都市景観の研究その1-」日本建築学会計画系計画系論文報告書 第441 号・1992 年11 月

(*)李 京洛、花里俊廣、高橋鷹志 著「スペースシンタックス理論 街路空間の解析」 日本建築学会大会学術梗概集1991年9月

(*)寺山 真也、鈴木 毅、舟橋 國男、木多 道宏、李 武 著「都市空間における視覚構造の生態幾何学的分析」日本建築学会計画系計画系論文報告書 第577 号・2004 年3 月

(*) 福井 光、服部岑生 著 「可視空間の量と形状の記憶法 イソビスタの三次元化の試み」日本建築学会大会学術梗概集1994 年9 月

(*)高山 幸太郎、中井 検裕、村木 美貴 著「商業集積地における空間の「奥行」に関する研究」- 下北沢を対象として- 2002 年度第37 回日本都市計画学会学術研究論文集

(*)北川 啓介、宇田川 あづさ、近藤 正一、若山 滋 著「視深度による建築平面記述・評価の研究」日本建築学会大会 学術梗概集1999 年9 月

(*)金尾明、原宏司、藤井明、日色真帆 著「連続的経路によるネットワークの分析」日本建築学会大会学術講演梗概集(中国)1990年10月

(*)第64回空間研究小委員会 「Space Syntax -空間の繋がりから見た建築・都市-」社団法人 日本建築学会 建築計画委員会 空間研究小委員会 研究会資料AIJ 0709-00500

(*)水野節子、掛井秀一著「都市街路形態のフラクタル解析」日本建築学会計画系計画系論文報告書 第414号・1990年8月

 

 

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コメント: 1
  • #1

    admin (土曜日, 08 10月 2011 23:59)

    これも全くダメ。論理が理解出来ていない。こんなに急に進まないし、コピーでしかない。

    モチベーションと問題意識を明確にし、既往の研究と比べ、研究の意義を示す。
    そのためには、何をしようとしているのかを検討しなければならない。
    なぜこの研究をしたいのか?どんな問題意識があるのか?

    >都市の被写界深度を指標とする街路景観の奥深さの記述
    都市の被写界深度??なぜ被写界なのか?
    都市の被写界深度と街路景観の奥深さはどう違うのか?
    どこから見たどんな都市の深度を計るのか?街路景観には奥行きがあるのか?

    >どのような過程を踏むことで都市を断片的に、曖昧に認識しているのだろうか。
    ???なぜこれが都市の奥深さと関係あるのか?

    >1-2.被写界深度と都市認識
    「都市では個人の興味や意識によってどこにピントを合わせているか様々である」ならば、なぜ被写界深度を決められるのか?
    都市の深度・都市の奥深さ・街路の深度・街路の奥深さ・街路景観の奥深さ・街路景観の奥行き・・・どれが目的か?また、それは都市認識とどう関係するのか?

    >可視可能範囲・・の境界の差異を示すことで、街路景観の奥深さを定量的に捉える
    ???なぜそれが出来るのか?

    >3-2.抽出手法の検討
    この画はよく分からないし、意味を感じない。何度も言うが、なぜ急に作業をするのか?
    まずデータ作成方法を示し、その理由と精度をあげていく。
    街路線分データはあるはずだから、その街路線分毎に奥行きデータを取る。
    その方法の検討だけでもやることは山ほどある。
    これが一次データ。それが出来たら、分析をする。その繰り返し。
    まず一都市で行う。(都市の奥行きがあると感じる街であること)

    むやみに作業をしないで、議論をする。議論するために確実なデータを積み上げる。
    中途半端なアイデアは不要。